【ダイソー・セリア】100均耐水シールが変えた私の世界 – 小さなステッカーから始まった大きな変革

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セリア】水に強いネームシール:100均は【日進月歩】 | 快適安心生活は片付けお掃除と防災備蓄!
目次

プロローグ – 挫折と絶望の淵で

音楽活動という夢の終焉

2019年の秋、私は25歳でバンド活動に終止符を打った。高校時代から8年間続けてきたドラムという情熱が、現実という名の重いハンマーに打ち砕かれた瞬間だった。メンバーとの価値観の相違、ライブハウスでの集客不振、そして何より「音楽では食べていけない」という現実に直面し、心の支えを失った。

解散ライブの後、楽器店でドラムセットを売り払う時の虚しさは今でも忘れられない。これまで愛用してきたスネアドラム、タム、シンバル——全てが「ただの中古楽器」として値札を貼られていく様子を見て、自分の青春も同じように値踏みされているような錯覚に陥った。

就職活動という新たな現実

音楽を諦めた私は、遅ればせながら就職活動を始めた。しかし、音楽以外に特別なスキルもなく、面接では「なぜ今まで就職しなかったのか」という質問に明確に答えることができずにいた。

何十社と面接を受けては不採用通知をもらう日々。自信は日に日に削られ、「自分には何の価値もないのではないか」という自己否定の気持ちが膨らんでいった。

実家への出戻りという屈辱

東京での一人暮らしを維持することができなくなり、故郷の福島県の実家に戻ることになった。同級生たちが社会人として独り立ちしている中での出戻りは、プライドを大きく傷つけた。

実家の自分の部屋には、かつてのバンド活動の写真やポスターが残されていた。輝いていた過去の自分と、現在の情けない自分とのギャップに愛しみ、部屋に引きこもる日々が続いた。

第一章 – 小さな希望の光

地元でのアルバイト

実家での生活が始まって1ヶ月後、母親の強い勧めもあって地元のコンビニでアルバイトを始めることになった。時給は最低賃金レベルだったが、家にいて自分を責め続けるよりはマシだった。

同僚は高校生から年配の方まで様々で、最初はバツが悪かったが、みんな温かく接してくれた。特に店長の佐藤さん(50代女性)は、私の事情を察してか、あまり詮索することなく優しく指導してくれた。

店舗装飾という新たな役割

働き始めて2週間ほど経った頃、佐藤店長から「今度のハロウィンの装飾、やってもらえる?」と頼まれた。他のスタッフは皆忙しく、消極的だったため、特に断る理由もなくその役割を引き受けることにした。

与えられた予算は3000円。近くのダイソーで装飾用品を購入することになった。100円ショップでの買い物など、音楽活動をしていた頃は考えもしなかったが、背に腹は代えられなかった。

運命の出会い – 100均耐水シール

ダイソーの装飾用品コーナーで品定めをしていた時、ふと目に留まったのが「耐水シール」だった。ハロウィン柄の可愛らしいデザインが110円で販売されている。

「耐水って何に使うんだろう」と思いながらも、冷蔵庫のガラス面などに貼れそうだと考えて購入した。かぼちゃ、おばけ、魔女の帽子など、様々なデザインが1シートに詰まっていて、110円とは思えないクオリティだった。

初めての装飾体験

その夜、コンビニの装飾作業を行った。壁には折り紙で作ったハロウィン飾り、冷蔵庫のガラス面には100均の耐水シール。限られた予算の中で工夫を凝らした装飾を施していく作業は、意外にも楽しかった。

特に耐水シールは、水に濡れても大丈夫なので、冷蔵庫や冷凍庫の結露を気にせず貼ることができた。また、貼り直しも可能で、位置を微調整しながら最適な配置を探ることができた。

お客さんからの反響

翌日から、お客さんたちの反応が変わった。「ハロウィンの飾り、可愛いですね」「誰が飾ったんですか?」といった声をかけられることが多くなった。

特に印象的だったのは、常連の小学生が「このおばけのシール、どこで買ったの?」と興味深そうに聞いてきたことだった。「100円ショップだよ」と答えると、「えー!100円でこんなにいっぱい入ってるの?」と驚かれた。

その時初めて、110円という価格に対する固定観念が変わった。安いからといって価値がないわけではなく、使い方次第で十分な満足感を与えられるのだと実感した。

第二章 – 創作への目覚め

次回の装飾への意欲

ハロウィン装飾が好評だったことで、佐藤店長から「今度のクリスマスもお願いします」と頼まれた。今度は少し予算も増やしてもらい、5000円での装飾企画を任された。

前回の成功体験があったため、今度はより積極的に100円ショップを活用することにした。様々な100円ショップを巡り、使えそうなアイテムを物色する作業は、まるで宝探しのような楽しさがあった。

耐水シールの新たな可能性発見

クリスマス準備の過程で、耐水シールの様々な活用方法を発見した。単純に貼るだけでなく、複数のシールを組み合わせてオリジナルデザインを作ったり、透明な容器に貼って立体的な装飾にしたりと、アイデア次第で無限の可能性があることがわかった。

特に気に入ったのは、透明なプラスチック容器の内側に貼ることで、外から見た時に浮かんでいるような効果を演出できることだった。この発見は後に大きな意味を持つことになる。

同僚からの評価

クリスマス装飾も大成功で、他のスタッフからも「センスがいいね」「どうやって思いつくの?」と褒められるようになった。これまで「何の取り柄もない」と思い込んでいた自分に、意外な才能があることを発見した瞬間だった。

高校生のスタッフからは「インスタ映えする〜」と言われ、実際に装飾をバックに写真を撮るお客さんも増えた。自分の作った装飾が人々の喜びや思い出作りに貢献していることを実感し、久しぶりに「人の役に立っている」という充実感を味わった。

家での練習

コンビニでの成功に味をしめた私は、家でも耐水シールを使った装飾の研究を始めた。実家の自分の部屋の窓ガラスや、風呂場のタイル、冷蔵庫など、様々な場所に試験的にシールを貼ってみた。

家族からは「何してるの?」と不思議がられたが、実際に装飾した場所を見せると「意外と可愛いじゃない」と評価してもらえた。特に母親は「あんたにこんな才能があったなんて知らなかった」と驚いていた。

第三章 – 技術の向上と認識の変化

シール貼りの技術向上

最初は単純に貼るだけだった耐水シールだが、次第に技術的な工夫を凝らすようになった。気泡が入らないように貼る方法、曲面にきれいに貼る技術、複数のシールを組み合わせる際の配色理論など、独学で様々なスキルを身につけていった。

YouTubeで関連動画を見たり、デザインに関する本を図書館で借りて読んだりと、この分野への学習意欲は音楽活動時代以来のものだった。

耐水性能の実験

「耐水」と謳われているものの、実際にどの程度の耐水性があるのか気になって、様々な実験を行った。シャワーの水圧に耐えるか、洗剤で洗っても大丈夫か、屋外の雨風に晒されても持つのかなど、科学的好奇心が刺激された。

結果的に、100円という価格にも関わらず、予想以上に高い耐水性能を持つことがわかった。この発見により、屋外装飾への応用可能性も見えてきた。

色彩理論の学習

効果的な装飾を作るために、色彩理論について学ぶようになった。補色の関係、暖色と寒色の使い分け、グラデーション効果など、これまで全く知らなかった知識が新鮮だった。

音楽では「聴覚」を通じて人の心に訴えかけていたが、装飾では「視覚」を通じて感動を与える。表現手段は違うが、「人の心を動かす」という本質は同じだということに気づいた時、久しぶりに創作への情熱が蘇ってきた。

季節ごとの装飾マスター

クリスマスの次は正月、バレンタイン、春の新生活シーズンと、季節ごとの装飾を任されるようになった。それぞれのイベントに合わせて、最適な耐水シールの使い方を研究した。

正月では和風テイストの金色・赤色シールを組み合わせ、バレンタインではハート型シールとピンク色を基調とした温かみのある装飾を演出。毎回異なるテーマに挑戦することで、デザインスキルが飛躍的に向上した。

他店舗からの視察

同チェーンの他店舗から「装飾を見せてほしい」という依頼が来るようになった。近隣の3店舗から店長やスタッフが見学に訪れ、装飾のノウハウを教えることになった。

「100均でこのクオリティが出せるなんて信じられない」「センスが良すぎる」といった評価をもらい、自分の中で眠っていた自信が少しずつ回復していった。

第四章 – 地域への展開と新たな挑戦

地域イベントへの参加

コンビニでの装飾が評判になり、地域の商工会から「夏祭りの装飾を手伝ってもらえないか」という依頼が舞い込んだ。規模は大きくなったが、基本的には同じ原理——限られた予算で最大限の効果を生み出すことだった。

夏祭りでは屋外での使用となるため、耐水シールの真価が発揮された。雨に濡れても剥がれない、風に飛ばされない、色褪せしない——まさに「耐水」の名に恥じない性能だった。

ボランティア活動の開始

夏祭りでの成功をきっかけに、様々なボランティア活動に参加するようになった。老人ホームの季節装飾、小学校の文化祭準備、地域清掃活動の啓発ポスター作成など、耐水シールを使った装飾技術が様々な場面で活用された。

特に印象深かったのは、老人ホームでの装飾活動だった。入居者の方々と一緒にシールを貼りながら昔話を聞いたり、完成した装飾を見て喜んでもらったりする経験は、お金では買えない価値があった。

子どもたちとのワークショップ

小学校での装飾活動の際、子どもたちから「自分たちもやってみたい」という声が上がった。そこで、耐水シールを使った簡単な装飾ワークショップを開催することになった。

子どもたちの自由な発想は、大人の私が思いもよらないアイデアを生み出した。「雲の形のシールを逆さに貼って雨に見える」「星のシールを繋げて星座を作る」など、固定観念にとらわれない創造性に刺激を受けた。

インスタグラムでの発信開始

ワークショップの様子を写真に撮っていたところ、参加した保護者の方から「インスタグラムで発信してみたら?」と勧められた。最初は抵抗があったが、より多くの人に100均装飾の魅力を伝えられるかもしれないと思い、アカウントを開設した。

アカウント名は「@100yen_sticker_magic」。投稿する写真には必ず使用したシールの商品名と購入場所、かかった費用を明記し、誰でも再現できるような情報を心がけた。

第五章 – オンラインコミュニティの形成

フォロワーの急増

最初は数十人だったフォロワーが、3ヶ月で1000人を超えた。「こんなアイデアがあったなんて!」「100均でこんなに素敵な装飾ができるなんて知らなかった」といったコメントが毎日のように寄せられた。

特に、子育て中のママたちからの反響が大きかった。「子どもの誕生日パーティーに使わせてもらいました」「季節の装飾を子どもと一緒に楽しんでいます」といったメッセージが心を温かくしてくれた。

全国からの問い合わせ

フォロワーが増えるにつれ、全国各地から問い合わせが来るようになった。「こんな場所に貼りたいのですが、どのシールがおすすめですか?」「この色の組み合わせはどう思いますか?」など、具体的な相談が寄せられた。

一つ一つ丁寧に回答していくうちに、全国に「100均装飾仲間」のような存在ができていることを実感した。福島の田舎にいながら、全国の人々とつながっている感覚は新鮮だった。

オンラインワークショップの開催

コロナ禍で直接会ってのワークショップが困難になった際、Zoomを使ったオンラインワークショップを開催することにした。参加者には事前に必要なシールを郵送し、画面越しに一緒に装飾作業を行った。

初回は10人程度の参加だったが、回を重ねるごとに参加者が増え、最終的には50人を超える大規模なイベントとなった。北海道から沖縄まで、様々な地域から参加があり、改めて装飾の持つ力を実感した。

コミュニティの自立的発展

参加者同士が自発的に情報交換を始め、私が主催せずとも「100均装飾部」のような自立したコミュニティが形成されていった。地域ごとのオフ会が開催されたり、新商品の情報共有が行われたりと、一つのカルチャーとして定着していった。

第六章 – 事業化への転換点

企業からの依頼

インスタグラムでの活動が注目され、地元企業から「店舗装飾をお願いしたい」という正式な依頼が来るようになった。美容院、カフェ、雑貨店など、様々な業種からの依頼があり、それぞれのコンセプトに合わせた装飾を提案した。

最初は「趣味の延長」として気軽に引き受けていたが、クライアントからの評価が高く、口コミで依頼が広がっていった。いつの間にか、月に数万円の副収入を得られるようになっていた。

100円ショップとの協業

活動を続けているうち、某100円ショップチェーンの本社から連絡があった。「商品開発の参考にしたいので、意見を聞かせてほしい」という内容だった。

実際に本社を訪問し、商品開発担当者と面談。現場で使っている立場からの改善提案や、新商品のアイデアを提供した。自分の意見が商品開発に反映される可能性があることに、大きなやりがいを感じた。

メディア出演の機会

地元テレビ局の情報番組で「100均活用術」の特集が組まれ、専門家として出演することになった。緊張したが、これまでの経験と知識を活かして、視聴者にとって有益な情報を提供できたと思う。

番組放送後、インスタグラムのフォロワーが一気に5000人を超え、全国からの問い合わせも急増した。

正社員としての就職決定

これらの活動が評価され、地元の広告代理店から正社員としてのオファーを受けた。「装飾・デザイン担当」という新しいポジションでの採用で、これまでの経験を活かせる理想的な職場だった。

就職活動で何十社も落ちた過去が嘘のように、今度は企業の方から声をかけてもらえた。100均耐水シールとの出会いから始まった一連の経験が、予想もしなかった形で人生を変えてくれた。

第七章 – 新しい仕事と更なる挑戦

広告代理店での新生活

正社員として働き始めた広告代理店では、主にイベント装飾や店舗ディスプレイの企画・制作を担当した。これまでの100均活用ノウハウを活かし、低コストで高いインパクトを与える装飾提案が得意分野となった。

同僚たちも私の特殊なスキルセットを評価してくれ、「100均マスター」という愛称で呼ばれるようになった。最初は恥ずかしかったが、自分の専門性として誇りを持てるようになった。

大型プロジェクトへの参加

入社半年後、県内最大のショッピングモールのリニューアル装飾プロジェクトに参加することになった。予算は数百万円規模で、これまでとは桁違いの案件だった。

しかし、基本的な考え方は変わらない——限られた予算で最大限の効果を生み出すこと。

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