長い間、私は「食器は陶器でなければならない」という固定観念に縛られていました。結婚当初、夫と一緒に選んだ白い陶器の食器セットを大切に使い続けていたのです。確かに陶器には重厚感があり、料理を盛り付けた時の見栄えも良く、食卓に上品さを演出してくれました。
しかし、陶器の食器には避けて通れない問題がありました。重さ、そして割れやすさです。特に子供が生まれてからは、この2つの問題が日常生活で大きなストレスになっていました。
転機となった出来事
息子が3歳になった頃のことです。いつものように夕食の片付けをしていた時、疲れていた私は手を滑らせて、お気に入りの深皿を床に落としてしまいました。「ガシャン」という音と共に、美しかった白い皿は無残にも粉々に砕けてしまいました。
その瞬間、なぜかほっとしている自分がいることに気づきました。「もう割れることを心配しなくていいんだ」という安堵感。そこで初めて、私がどれだけ食器を割ることへの恐怖を抱えながら生活していたかを自覚したのです。
100均プラスチックプレートとの出会い
翌日、息子と一緒に100円ショップに行った時のことです。食器コーナーで、カラフルなプラスチック製のプレートが目に入りました。深いブルー、鮮やかなグリーン、優しいピンク。どれも110円という価格で、デザインも思っていた以上におしゃれでした。
「試しに数枚買ってみようかな」と思い、ブルーとグリーンのプレートを2枚ずつ購入しました。息子も「きれい!」と喜んで、自分専用のお皿として赤いプレートを選びました。
初回使用での驚き
家に帰って早速、そのプラスチックプレートでランチを食べてみました。まず驚いたのは、その軽さです。片手で軽々と持てる重量は、食器を運ぶ作業を格段に楽にしてくれました。
そして、子供が使っても安心だという安堵感。息子が手を滑らせてプレートを落としても、「コン」という軽い音がするだけで、床に傷がつくこともありません。何より、息子自身も「割れない」という安心感からか、自然と食器を大切に扱うようになったのが印象的でした。
家事効率の劇的な改善
プラスチックプレートを使い始めてから、家事の効率が劇的に向上しました。
洗い物が楽になった 軽いので、洗い物をする時の手首への負担が大幅に減りました。特に大量の洗い物がある時は、この軽さの恩恵を強く感じました。また、落として割る心配がないので、洗い物中のストレスも軽減されました。
収納が楽になった 陶器に比べて薄くて軽いため、食器棚での収納効率が向上しました。同じスペースにより多くの食器を収納できるようになり、食器棚の整理整頓も楽になりました。
片付けを子供が手伝える 軽くて割れないプラスチックプレートなら、3歳の息子でも安全に片付けを手伝うことができます。「お皿をシンクに運んで」とお願いすると、喜んで手伝ってくれるようになりました。
予想外の活用場面
当初は普段使いの食器として購入したプラスチックプレートでしたが、使っているうちに様々な活用法を発見しました。
アウトドアでの活躍 家族でピクニックやバーベキューに行く時、このプラスチックプレートが大活躍しました。軽くて持ち運びが楽で、万が一落としても割れる心配がありません。使用後は軽く洗って持ち帰ることができ、使い捨ての紙皿を買う必要もなくなりました。
子供のお友達が来た時 息子のお友達が遊びに来て一緒に食事をする時も、プラスチックプレートが重宝しました。子供たちが扱っても安全で、カラフルなプレートは子供たちにも好評でした。
ベランダでの軽食 天気の良い日にベランダで軽食を取る時も、軽いプラスチックプレートなら持ち運びが楽で、風で飛ばされる心配も少なく、安心して使えました。
色による使い分けの楽しさ
複数の色のプラスチックプレートを揃えたことで、色による使い分けという新しい楽しさを発見しました。
ブルーのプレートは魚料理に、グリーンのプレートはサラダや野菜料理に、ピンクのプレートはデザートに、と料理に合わせて色を選ぶようになりました。これまでの白い陶器では味わえなかった、食卓のカラーコーディネートの楽しさを知りました。
息子も自分専用の赤いプレートを気に入り、「僕の赤いお皿で食べる!」と毎食楽しみにするようになりました。
来客時の悩みと解決策
一方で、来客時には少し悩みも生じました。義母が遊びに来た時、「プラスチックの食器で大丈夫?」と心配そうに言われたのです。確かに、きちんとしたおもてなしをしたい時には、プラスチックプレートでは少し物足りなく感じることもありました。
この問題は、使い分けで解決しました。普段使いはプラスチックプレート、特別な来客時やフォーマルな食事の時は陶器の食器を使うという方法です。全てをプラスチックに置き換える必要はなく、用途に応じて使い分ければよいのだと気づきました。
子供の成長と共に
息子が成長するにつれて、プラスチックプレートとの関わり方も変化していきました。
4歳になった頃から、息子は自分でプレートに料理を取り分けることができるようになりました。軽いプラスチックプレートなら、小さな手でも扱いやすく、自立心の育成にも役立ったと思います。
5歳になると、色の好みも出てきて、「今日は青い気分だから青いお皿」「緑の野菜だから緑のお皿」など、自分なりのルールでプレートを選ぶようになりました。食事の時間がより楽しくなったようです。
経済的なメリット
陶器の食器を割ってしまった時のショックは、精神的なものだけでなく経済的なものもありました。気に入ったシリーズの食器を買い足そうとすると、1枚で数千円することも珍しくありません。
しかし、プラスチックプレートなら1枚110円。仮に汚れが落ちなくなったり、傷がついたりしても、気軽に新しいものに交換できます。この気軽さは、食器に対するストレスを大幅に軽減してくれました。
衛生面での安心感
プラスチック製なので、熱湯消毒や漂白剤での除菌も気軽に行えます。特に子供が使う食器としては、この衛生面での扱いやすさは大きなメリットでした。
また、表面がツルツルしているため、汚れが落ちやすく、洗い残しも少なくなりました。特に油汚れなどは、陶器よりも簡単に落とすことができます。
デザインの進化に驚き
最初に購入した時は「100均のプラスチック食器だから、デザインはそれなり」と思っていました。しかし、使い続けているうちに、新しいデザインの商品が次々と登場することに気づきました。
木目調のもの、マット仕上げのもの、北欧風のデザインのものなど、とても110円とは思えないクオリティの商品が増えてきました。食器売り場を見るのが楽しみになり、気に入ったデザインを見つけると追加で購入するようになりました。
他の家族への波及効果
私たちがプラスチックプレートを愛用している様子を見て、実家の母も興味を示すようになりました。80歳を超えた母にとって、重い陶器の食器は日常的な負担になっていたのです。
軽いプラスチックプレートを勧めたところ、「こんなに軽いなら、もっと早く使えばよかった」と喜んでくれました。高齢者にとって、軽い食器は転倒防止や手首の負担軽減に大きく貢献することを実感しました。
環境への配慮という新たな課題
長期間使用していて気になり始めたのが、環境への影響です。プラスチック製品の環境負荷について考えるようになり、できるだけ長く使用すること、不要になった時の適切な処分を心がけるようになりました。
幸い、100均のプラスチックプレートは思っていた以上に耐久性があり、3年以上使用しても大きな劣化は見られません。コストパフォーマンスの良さと環境負荷の軽減を両立できていると感じています。
また、使い捨ての紙皿を買う頻度が減ったことで、全体的な廃棄物の削減にもつながったのではないかと考えています。
食事に対する意識の変化
意外だったのは、プラスチックプレートを使うようになってから、食事に対する意識が変わったことです。
陶器の食器を使っていた頃は、「食器を割らないように」「きちんと盛り付けなければ」という緊張感がありました。しかし、プラスチックプレートにしてからは、もっと自由で楽しい雰囲気で食事ができるようになりました。
息子も「お皿が軽いから、お手伝いしやすい!」と言って、配膳や片付けを積極的に手伝ってくれるようになりました。食事の準備や片付けが家族の共同作業になり、コミュニケーションの時間も増えました。
料理への影響
軽くて扱いやすいプラスチックプレートは、料理の盛り付けにも変化をもたらしました。重い陶器だと「一度盛り付けたら動かすのが面倒」と思いがちでしたが、軽いプレートなら気軽に位置を変えたり、盛り付けを調整したりできます。
また、複数の色があることで、料理の色合いとのコーディネートを考える楽しさも生まれました。トマトソースのパスタには白やグリーンのプレート、カレーには濃いブルーのプレートなど、色の組み合わせを工夫するようになりました。
友人たちからの反応
最初は「プラスチックの食器って、どうなの?」と疑問視していた友人たちも、実際に我が家で食事をしてみると、その便利さに驚いてくれました。
特に小さい子供がいる友人たちは、「子供が落としても割れないなんて、すごく安心!」「洗い物が楽そう!」と興味を示し、後日「私も買ってきた!」と報告してくれることが多くありました。
使用上の工夫と発見
長期間使用する中で、いくつかの工夫や発見もありました。
熱い料理への対応 プラスチック製なので、熱々の料理を直接盛り付けるのは避け、少し冷ましてから盛り付けるようにしています。これにより、プレートの変形や劣化を防げます。
スタッキングの便利さ 同じ形のプレートを複数枚重ねて収納できるため、収納効率が非常に良いです。陶器の時は重ねすぎると重くなって危険でしたが、プラスチックなら安心してスタッキングできます。
お絵描きプレートとしても たまに息子が食事前に「お皿にお絵描きしたい」と言うことがあります。水性のマーカーなら後で簡単に洗い落とせるので、お絵描きプレートとしても活用しています。食事がより楽しい時間になりました。
季節による使い分け
使い続けているうちに、季節による使い分けも楽しむようになりました。
春は桜をイメージしたピンクのプレート、夏は涼しげなブルーのプレート、秋は温かみのあるオレンジのプレート、冬は落ち着いたグリーンのプレートなど、季節感を演出する道具としても活用しています。
陶器の食器では、こうした季節ごとの色の変化を楽しむのは経済的に難しかったのですが、110円という価格だからこそ実現できた楽しみ方です。
健康面でのメリット
軽いプラスチックプレートを使うようになってから、手首や腕への負担が減り、食事の準備や片付けが楽になったことで、料理をする頻度が増えました。
重い陶器の食器を使っていた時は、「洗い物が面倒だから外食にしよう」と思うことがしばしばありましたが、軽いプラスチックプレートなら洗い物のハードルが下がり、自然と手料理の回数が増えました。
結果的に、家族の健康的な食生活にも貢献していると感じています。
災害時の備えとしても
東日本大震災以降、災害に対する意識が高まった我が家では、非常用品の見直しも行いました。その際、軽くて割れないプラスチックプレートは、災害時の食器としても優秀だということに気づきました。
避難所生活や停電時でも安心して使えるプラスチック食器は、防災用品の一部としても価値があります。普段使いしているものが非常時にも役立つというのは、大きな安心感につながります。
息子の友達への影響
息子の友達が我が家に遊びに来た時、カラフルなプラスチックプレートを珍しがってくれることがよくありました。「なんでこんなにカラフルなお皿があるの?」「軽くて不思議!」など、子供たちには新鮮に映るようです。
中には「うちのお皿は重くて、お母さんが『気をつけて』っていつも言うの」と言う子もいて、子供にとって食器の重さや割れやすさがストレスになることもあるのだと気づかされました。
メンテナンスの簡単さ
3年以上使用していますが、プラスチックプレートのメンテナンスは驚くほど簡単です。
傷の対処 細かい傷がついても、中性洗剤で洗えば清潔に保てます。深い傷がついた場合は、110円なので気軽に交換できます。
変色への対応 カレーやトマトソースなどで多少変色することもありますが、漂白剤に一晩つけ置きすれば、ほぼ元の色に戻ります。
においの除去 にんにくや魚の生臭さがついても、重曹を使って洗えば簡単ににおいが取れます。
色あせることのない魅力
最初に購入してから約4年が経った今でも、プラスチックプレートの魅力は色あせることがありません。むしろ、使えば使うほど、その便利さや versatility に感動しています。
先日、久しぶりに陶器の食器を使う機会がありましたが、その重さに改めて驚きました。「こんなに重かったっけ?」と感じるほど、軽いプラスチックプレートに慣れてしまっていました。
今後の展望
今後も、プラスチックプレートは我が家の食卓に欠かせない存在であり続けるでしょう。息子が成長して一人暮らしを始める時も、まずはこのプラスチックプレートを持たせてあげたいと思います。
経済的で実用的、そして扱いやすいプラスチックプレートは、新生活を始める人にとって理想的な食器だと確信しています。
最後に:小さな変化が生んだ大きな転換
振り返ってみると、たった110円のプラスチックプレートとの出会いが、我が家の食生活を大きく変えました。重い陶器への固執から解放され、もっと自由で楽しい食事の時間を手に入れることができました。
「安いものは質が悪い」「プラスチックは安っぽい」という先入観を捨て、実際に使ってみることの大切さを学びました。価格や素材にとらわれず、自分たちの生活に本当に必要な機能は何かを見極めることが重要だと気づきました。
息子が大きくなって、この時期を振り返った時、「お母さんの軽いお皿で食べた食事は楽しかった」と思い出してくれることを願っています。そして、彼もまた、固定観念にとらわれることなく、自分なりの快適な生活を築いてくれることを期待しています。
100均のプラスチックプレートは、ただの食器ではありませんでした。それは、生活をより良く変える小さなきっかけであり、家族の笑顔を増やす魔法のアイテムでした。これからも、この軽やかなパートナーたちと一緒に、楽しい食事の時間を重ねていきたいと思います。

