【ダイソー・セリア】100均ラッカースプレーとの3年間 – DIY初心者が見つけた創造の可能性

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100均ラッカースプレーとの3年間
目次

絶望的なDIY経験からの出発

学生時代の工作トラウマ

小学校の図工の時間、中学校の技術の授業、そして大学のサークル活動でのDIYプロジェクト。振り返ってみると、私の「ものづくり」に関する記憶は失敗の連続だった。

特に印象深いのは、中学2年生の時に木製の本立てを作る授業でのことだった。設計図通りに木材をカットするところまではなんとかできたが、塗装の段階で完全に失敗した。筆ムラは酷く、液だれで見るも無残な仕上がりになった。

「私には美的センスがない」「手先が不器用すぎる」と完全に諦めていた。

社会人になってからの現実

27歳でマンションを購入し、初めて「自分好みの空間を作りたい」という欲求が芽生えた。しかし、家具や雑貨を全て購入するには予算が足りない。「自分で作れたら…」と思っても、過去の失敗体験がトラウマになっていた。

ホームセンターのDIYコーナーを見回っても、どれも本格的すぎて手が出せない。特に塗料コーナーは、缶入りのペンキやニスがずらりと並び、価格も1缶数千円と高額で、失敗を恐れる私には敷居が高すぎた。

友人の華麗なDIY作品への憧れ

SNSで友人たちのDIY作品を見るたびに、羨ましさと自分への不甲斐なさを感じていた。古い家具を見事にリメイクしたり、オリジナルのインテリア小物を作ったり。「同じ人間なのに、なぜこうも差があるのか」と劣等感を抱いていた。

運命の出会い – セリアの工具コーナーで

2021年秋の偶然の発見

引越し用品を買いにセリアに立ち寄った時のことだった。工具コーナーを何気なく通りかかると、見慣れないスプレー缶が陳列されているのに気づいた。

「ラッカースプレー」と書かれたそのアイテムは、まさに私がイメージしていた本格的なスプレー塗料そのものだった。色のバリエーションも豊富で、つや消し、つやあり、メタリックなど、仕上げの種類も選べるようになっていた。

110円という価格への衝撃

価格表示を確認すると、なんと110円(税込)。ホームセンターで見た同様の商品は1本800円〜1,500円程度だったので、最初は「本当に同じような性能なのか?」と疑った。

しかし、「これなら失敗してもそれほど痛くない」「試しに使ってみるには丁度いい」と思い、白のつや消しを1本購入してみることにした。

初回テストへの不安

家に帰る途中、「本当にちゃんと塗れるんだろうか」「すぐにはがれたりしないか」「健康に害はないか」など、様々な不安が頭をよぎった。

100均商品への先入観もあり、期待値はかなり低く設定していた。

初回使用 – 期待を裏切る高品質

最初の実験対象選び

自宅にあった古いプラスチック製の小物ケースを実験台に選んだ。元々は透明だったが、経年劣化で黄ばみ、細かい傷も多く付いていた。「これが綺麗になったらラッキー、失敗しても元々捨てる予定だから問題ない」という気持ちだった。

作業準備の学習

スプレー缶の注意書きを読みながら、作業準備を進めた。換気の重要性、マスキングの必要性、缶の振り方など、基本的な知識を説明書から学んだ。

ベランダに新聞紙を敷き、マスクをして、恐る恐る作業開始した。

第一噴射の感動

スプレーボタンを押した瞬間、想像以上に均一で美しい霧が噴出された。「これが本当に110円の商品?」と目を疑った。

塗料の粒子は細かく、ムラになりにくそうな印象だった。色の発色も良く、下地の黄ばみを完全に隠してくれた。

完成品への感動

約10分間で、見違えるようなプラスチックケースが完成した。黄ばんで汚れていたケースが、まるで新品のような真っ白な仕上がりになった。表面のツヤも適度で、高級感すら感じられた。

「これが私の作品?」と自分でも信じられなかった。長年の「塗装=失敗」という固定観念が一瞬で覆された。

使用範囲の拡大と技術の向上

次のターゲット選定

成功に勢いづいて、次は古い木製の写真立てにチャレンジしてみた。こちらは表面の凹凸があり、より難易度が高そうだった。

色は黒のつや消しを選択。シックで大人っぽい仕上がりを目指した。

技術の向上

2回目、3回目と作業を重ねるうちに、コツが分かってきた。スプレーとの距離、移動速度、重ね塗りのタイミングなど、経験を通じて最適な方法を見つけていった。

YouTubeでスプレー塗装のテクニック動画も参考にし、プロの技術を学んだ。

色のバリエーション拡大

白と黒に慣れた後、青、赤、シルバー、ゴールドなど、様々な色にチャレンジし始めた。それぞれの色に適したベース処理や、発色を良くするためのプライマーの必要性も学んだ。

大型プロジェクトへの挑戦

小物での成功を受けて、古いスチールラックの塗り替えにも挑戦した。面積が大きい分、スプレーの利点が活かされ、筆塗りでは絶対に不可能な均一な仕上がりを実現できた。

生活環境の激変

部屋の印象の完全変化

古い家具や雑貨を次々と塗り替えていくうちに、部屋全体の印象が劇的に変化した。統一感のあるカラーコーディネートで、まるでインテリア雑誌に出てくるような空間になった。

友人を呼んだ時も「この家具どこで買ったの?」「すごくセンスいいね」と褒められることが多くなった。

経済効果の実感

新しい家具を購入する代わりに、既存のものを塗り替えることで、大幅な節約効果があった。例えば、新品のスチールラックなら15,000円程度するが、中古のものを1,000円で買って塗り替えれば、見た目は新品同様で14,000円の節約になった。

創作意欲の覚醒

塗装技術に自信がついてくると、「次は何を作ろうか」「何を塗り替えようか」と考える時間が楽しくなった。街を歩いていても、「あれは塗り替えたらもっと良くなる」という視点で物を見るようになった。

技術向上への投資

基本的な塗装に慣れた頃、より高度な技術にも興味を持ち始めた。マスキングテープを使ったツートーン塗装、ステンシルを使った模様付け、グラデーション塗装など、表現の幅を広げていった。

それでも、メインの塗料は100均のラッカースプレーを使い続けた。コストパフォーマンスの良さは圧倒的だった。

近所での評判

ベランダでの作業が多かったため、近所の住人からも注目されるようになった。「いつも何か作ってますね」「器用ですね」と声をかけられることが増えた。

技術の深化と応用範囲の拡大

下地処理の重要性の発見

使用経験を重ねるうちに、仕上がりの美しさは塗装技術だけでなく、下地処理が重要であることを学んだ。サンドペーパーでの研磨、脱脂、プライマー塗装など、準備工程の大切さを実感した。

異素材への挑戦

木材、プラスチック、金属に慣れた後、ガラス、陶器、布などの異素材への塗装にも挑戦した。それぞれの素材に適した前処理方法や、専用のプライマーの必要性を学んだ。

複雑な作品への挑戦

単色塗装から始まって、複数色を使った複雑なデザインにも挑戦するようになった。幾何学模様、グラデーション、エイジング加工など、表現技法のレパートリーが大幅に拡大した。

オリジナル作品の制作

既存品の塗り替えから、一からの作品制作にも挑戦し始めた。木材を組み合わせてオリジナルの棚を作り、ラッカースプレーで仕上げる。設計から完成まで全て自分で行

まとめ – 100均ラッカースプレーが変えた私の人生

3年間の振り返り

2021年秋から始まった100均ラッカースプレーとの出会いは、単なる塗装技術の習得を超えて、私の人生観そのものを変える経験となった。

総投資額約5,000円(スプレー缶約40本分)に対して、節約効果は15万円以上。経済的なメリットだけでも十分すぎるほどだったが、それ以上に価値があったのは「自分にもできる」という自信の獲得だった。

技術的な到達点

現在では、プロ並みとは言わないまでも、素人レベルを大きく超える塗装技術を身につけることができた。友人や同僚からの「作って欲しい」という依頼も増え、趣味が実益を兼ねるまでになった。

複雑な下地処理から仕上げまで、一連の工程を完璧にこなせるようになり、素材を問わず美しい仕上がりを実現できる自信がある。

人生観の変化

最も大きな変化は、「既製品を買う」から「自分で作る・直す」への思考転換だった。何か欲しいものがあった時、まず「自分で作れないか」を考えるようになった。

この経験により、他の分野でも「やったことがないから無理」という思い込みから解放され、積極的にチャレンジする姿勢が身についた。

環境意識の向上

古いものを塗り替えて再生させることで、大量消費社会への疑問を持つようになった。「まだ使える」ものを簡単に捨てるのではなく、「どうすれば蘇らせることができるか」を考える習慣がついた。

コミュニティとのつながり

SNSを通じてDIY仲間とのネットワークができ、情報交換や作品の相互評価を行うようになった。一人の趣味だったものが、多くの人とのつながりを生む活動に発展した。

今後の展望

現在は100均ラッカースプレーを中心としたDIY活動を続けているが、将来的にはより本格的な塗装設備や、エアブラシなどの専門機材にも挑戦してみたいと考えている。

ただし、手軽さと経済性という100均ラッカースプレーの最大の魅力は今後も活用し続けたい。初心者への指導や、気軽な実験には最適の道具だと確信している。

最後に

110円という価格の商品が、これほどまでに人生を豊かにしてくれるとは、当初は想像もできなかった。大切なのは道具の価格ではなく、それをどう活用するかという創意工夫と、失敗を恐れずチャレンジする勇気なのだと実感している。

「たかが100均、されど100均」。小さな一歩が、大きな変化の始まりになることを、身をもって体験した3年間だった。

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